公益財団法人伊藤記念財団令和2年度学会等助成事業による
公益社団法人 日本獣医学会市民公開講座
「豚の感染症と私たちの暮らし ー 豚熱とアフリカ豚熱の現状と対策」

開催概要

日 時 2021年2月7日(日)14:00 - 15:40
会 場 WEB開催(新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を踏まえWEB開催とします)
参加対象 一般市民の方
参加費 無料
定 員 500名先着順
プログラム 14:00 開会挨拶
    久和 茂(日本獣医学会理事長)

14:05 講演①「豚熱(CSF)の現状と今後の展望 - 食生活への影響はあるのか」 質疑含む
    演者:迫田 義博(北海道大学大学院獣医学研究院 教授)

      座長:内田 和幸(東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授)
【講演要旨】 2018 年9 月に26 年ぶりに国内で豚熱(CSF、以前の病名は豚コレラ)が発生しました。 あれから2 年が過ぎましたが、ウイルスが野生動物であるイノシシで感染拡大しており、結果としてブタでの発生も60 事例を超えています。豚にワクチンを接種して対応していますが、ワクチンはその性能上、ウイルス感染を完全に防ぐことができないので、今後もワクチン接種農場での発生が懸念されます。問題の根本解決には、イノシシからウイルスを完全に追い出す必要があります。しかしそのゴールには10 年以上の努力の継続が必要であり、生産者にはそのための支援が必要です。ところでそもそも、豚熱ウイルスはブタとイノシシのみに感染し、ヒトへは感染しません。前述の通り、豚熱清浄化への道のりは長いですが、関係者は最善の衛生管理を続けており、スーパーに並ぶ豚肉はこれまで通り美味しく安全ですので、御安心ください。
14:45 講演②「アフリカ豚熱(ASF)の脅威および国内/農場侵入ルートと対応策」 質疑含む
    演者:末吉 益雄(宮崎大学大学院医学獣医学総合研究科 教授)

      座長:大澤 健司(宮崎大学大学院医学獣医学総合研究科 教授)
講演② 動画を見る46:15 [2.49GB]
第Ⅱ部については、終始ノイズが発生しており、聴きづらくなっておりますことを お詫び申し上げます。
【講演要旨】アフリカ豚熱(ASF) は国内で発生している豚熱(CSF)とは原因ウイルスが違う、全く異 なる豚の高致死性の熱性出血性伝染病です。ASF ウイルスは4°C で525 日間以上、pH3.9~13.4 で7日間生残します。死亡イノシシ体中、感染豚由来加工肉製品内では3?6 ヶ月間生残します。ASF の伝播は感染豚・イノシシ等との直接的・間接的接触だけではなく、ダニの媒介もあります。ASF 流行はアフリカと一部の地域に限局していましたが、2007 年4 月にジョージアに侵入して約10 年間で欧州・ロシアにまん延し、2018 年8 月に中国に侵入して、約1 年間で、東・東南アジア諸国にまん延しました。国内の国際空港等で摘発された手荷物等の肉製品等からASF ウイルス遺伝子が89 件(内3件は感染性有)検出されています(2020.10.25)。これらは氷山の一角であり、すでに国内にはASF ウイルスが侵入している可能性があり、いつ、どこで発生してもおかしくない状態です。有効なワクチンはなく、消石灰散布による消毒も期待できません。
15:25 総合討論
    司会:猪熊 壽(日本獣医学会理事)
    参加者の皆様からの質問を受け付けます

15:40 閉会
お申込み お申し込みを締め切りました。
締め切り 2021年 1月31日(日)締め切り予定2021年 2月 3日(水)まで延長致しました。